Amazonで本を買う場面をイメージしてください。
最近Kindleにはまってきたアナタは、電子書籍版を買おうと所望の本を検索します。
検索した結果、電子書籍と紙の本が同価格表示だったら
「電子版なのに同価格かよ!割引しろよ!」
と思いませんか?
情報量という意味では等価なはずなのに。
人は商品を「価値」と「使用価値」の2つの側面から評価します。
「価値」と「使用価値」
”「価値」と「使用価値」”と書きましたが、ここでは
- 「価値」 の意味を 「労力(労働者が費やした時間)」
- 「使用価値」 の意味を 「有用度(その商品がどれだけ役に立つか)」
と解釈してください。
紙の本には印刷会社などの従業員の労力がかかっていますが、
電子書籍は電子データなので労力の点では紙の本より負担が少ないはず。
このため、両者の内容がまったく同じ、つまり使用価値が同じだとしても、
”手間ヒマかかっている紙の本より電子書籍のほうが安くて当然”と思ってしまいます。
飲食店で食事する際にも「自家製ハンバーグ」とか「手作りミソ」とか
たくさん手がかかっていますよ~とアピールされているほうが
(実際の味が同じだったとしても)たくさんお金を払ってもよい気がしますよね?しませんか?
ボクはするのでするってことにしといてください。
人月の神話から抜け出せない電子機器メーカー
電子機器メーカーでは
お客さんからの「こういう機能がほしいんだよね」という声をもとに
ハードウェア開発、ソフトウェア開発を行います。
ビジネスなので、開発の成果物に対する値付けが当然必要となり、
「それだとウン万円になりますね」と見積もりを提出。
ソフトウェアの場合はその「ウン万円」の根拠となるのが「人月(にんげつ)」
(人月とは1人が1か月で行うことのできる作業量のことで、例えば10人月の作業を2人で行えば5ヶ月かかる)。
1人月あたり100万円といったように単価を決めて、
10人月のプロジェクトなら100x10=1000万円で見積もり受注し、
スケジュールに遅れないように開発をすすめます。
ここで、スケジュール遅れはもちろん問題ですが
予定より早すぎる進行も問題になります。
成果物を早く顧客に提出したら
「あれ、10人月っていってたのに実際8人月しかかかってないよね、200万円ぼったくったの?」
と言われる可能性があるから。
頑張ったら値切られる、って状態です。
これは製品を「使用価値」でなく「価値(労働力)」ではかっているから。
たくさん残業する社員が評価され、残業代たんまり稼げるというのも同様ですね。
言葉を知って、細分化して考える
今回の投稿で
「価値」で評価せずに「使用価値」で評価しろ!
と言いたいわけではありません。そもそも会社のシステムがそうなってないし(外資系は除く)。
「価値」と「使用価値」という考え方があって、それをもとにすると
僕等が普段使っている「価値」という言葉の意味合いもより細かく理解することができるよね、
ということ。
たとえば自分の労働状況を客観視する材料にもなります。
・「価値(労働力)」でしか評価されないということは、時間を切り売りしているということなのか?
・それが嫌なら圧倒的な使用価値を生み出せばよいのか?
・使用価値を上げることに焦点をあてて、そこに労働力を多く割くのか(投資)?
新しい概念を知ると、単純に知的好奇心が満たされて楽しいんす。
自分が商品を買うとき、何を持って評価しているのでしょうか。
=====
編集後記
タイトルの一文を使いたくって、無理やりこの投稿書きました。
一日一新
Prime Music
11月の走行距離:29.1km (前日比±0km; 目標 200km)