写真は我が家の下駄。
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昨日、かかと立ちになることで体がつながると書きました。
まず、壁の前に普通に立って両手で壁を押してみてください。 その押した感じを覚えてください。
次に、つま先を浮かせて”かかと立ち”の状態になって、壁を両手で押してみてください。
どうでしょう?
かかと立ちのほうが、腕だけでなく背中を使って、ズーンという重さを伴って押している感覚になりませんか?
ちなみに片手で壁を押したり、片足の踵立ちにやる方がより踵が地面を踏む力が背中を通って壁を押している感覚が分かるかもしれません。
これは、かかと立ちという不安定な状況で、体がバランスをとるために1つに繋がる結果だと考えています。
この「不安定な状況」を作り出すために最適なのが一本歯下駄。
今回は一本歯下駄について紹介します。
目次
一本歯下駄とは
文字通り、歯が一本の下駄です。
歯の長さや、歯の取り付け位置(前歯、後歯など)がモノによって異なります。
最近では、平昌オリンピック スピードスケート500m金メダリストの
小平奈緒選手が、トレーニングに一本歯下駄を使っていることで話題になりました。
小平選手が使用している下駄は、かかと部分がなく、歯が前の位置についているタイプです。
「GETTA」という商品がこれに似ています。
金メダリストもトレーニングに取り入れてるんだし、きっと良い効果があるに違いありません。
一本歯下駄の種類
一本歯下駄は
- 歯がついている位置
- 歯の長さ
- 歯の形状
- 土台の形状
などで大きく特徴が変わります。
上で紹介した前に歯がついているタイプとは逆の、後歯タイプもあります。
以下では私が持っている3つの下駄について特徴を紹介します。
1) 歯の長さ7cm、真ん中に歯があるタイプ
浅草の下駄屋さんで購入した、オーソドックス?な一本歯下駄です。
主に普段履きとして使っています。
歯が短いので初心者でも履きやすいですが、走ろうとすると下駄の前部分が地面にぶつかります。
走る場合はもう少し歯が長い方が良いです。
2) 歯の長さが20cm、真ん中に歯があるタイプ
「BENKEI 20」という商品です。こちらで購入しました。
特徴はなんといっても20cmの歯。履くだけで一苦労です。
歯が長くなるだけでこんなにも不安定になるのか!と衝撃を受けた一品。
主に近所の公園で使っています。 これを履いて木剣の素振りをするといい感じです。ふらつきますけど。
3) 歯の長さが12cm、後ろに歯があるタイプ
後一本歯下駄です。
真ん中に歯があるタイプとは、履いた感覚が全く違います。
真ん中歯タイプはどちらかといえば走ったりするスポーツ系の?動きに向いていますが、
後一本歯は武術の鍛錬に適しています。
くるぶしの下に歯があるため、自然と「骨に乗る」状態になりやすいのです。
骨盤・背骨の使い方が分ってくる気がします。
一本歯下駄での動き方
一本歯下駄では「伸張反射」を使うと良い動きができます。
伸張反射とは、伸ばすと縮む、という筋肉の特性のことです。
下駄を履いて、一瞬だけカカトを下げる事によってふくらはぎが伸び、すぐに縮みます。
この縮みを利用して歩いたり跳ねたりするのです。
くれぐれも、鼠径部や前腿の筋肉を使って足を引き上げたりしないようにしてください。
伸張反射の感覚をつかむには、縄跳びが適しています。
普通の靴で縄跳びする場合、膝をスクワットの様に曲げてジャンプはしませんよね?
もし曲げすぎると、ジャンプするまで遅くなるしすぐに太ももの筋肉が疲れてしまいます。
軽く膝を曲げて、着地した際にふくらはぎ周りの筋肉が伸びた反発を利用してジャンプするはずです。
一本歯下駄を履いたときも同じ要領です。
膝は軽く曲げる程度で、踵を踏めば勝手にふくらはぎが伸びてジャンプする力が生まれます。
こういった体の使い方を覚えれば、ランニングのときも省エネで走れる様になるでしょう。
一本歯下駄を履くときの注意点
一本歯下駄を初めて履く人のために、注意点をかんたんにまとめます。
指を入れすぎない
鼻緒を指の奥まで入れてはいけません。浅めに履いてください。
真上から見て、指の股が少し見えるかな?くらいのポジションが良いです。
これは一本歯下駄に限らず、鼻緒がついた履物に共通するポイントです。
目線を下げない
ついつい足下を見たくなりますが、余計にバランスとれなくなります。
目線は水平にして、遠くを見るようにしましょう。
後ろにだけは倒れないようにする
不安定なので歩いていると倒れます。
後ろに倒れるのが一番危険なので倒れるなら前に倒れてください。
また、横方向の動きに弱くなります。
路肩の斜めになっている部分など特に気をつけてください。捻挫の危険性ありです。
最初は平らなところで練習する
最初は、壁や補助がある床が平らなスペースで練習しましょう。
倒れると痛いし恥ずかしいです。
数十分履いているだけでも、余分な力が抜けてきて楽になってきます。
なれてきたら、ちょっとした砂利道や階段にもチャレンジしてみましょう。
階段は手すりがあるところが良いです。
下り階段は特に注意
「階段にチャレンジ」と書きましたが、下り階段は本気で死ぬかと思うくらい怖いです。
下り階段をサクサク歩けたら一本歯下駄上級者かと。
とにかく注意しましょう。
電車も危険
一本歯下駄を履くと一番難しいのは「その場で止まること」です。
歩いているときはバランス取れてよいのですが、電車に立って乗る場合などは地獄です。
私は混んでる山手線に乗ってしまい、激しく後悔しました。
まとめ
不安定になると体が安定を求めて体をつなげようとします。
そのために最適なツールの一つとして、一本歯下駄を紹介しました。
履けば分かりますが、すぐにお腹まわりがポカポカしてきて、
バランスをとろうとしていろいろな筋肉が連動する感があります。
下駄の話からそれますが、
小さい子どもがいきなり踊りだしたり歌ったりするのを見ていると
「正しく体を動かすのはそれだけで気持ちいいこと&ご機嫌になれること」なんだな、 としみじみ思います。
彼らはハイハイの動作で体をつなげる動きができているからなおさら気持ち良いのでしょう。
しかし、成長して筋力がつくとともに「つなげる」感覚を失う人は多いと思います。
大人なあなたも、ハイハイプレイもしくは一本歯下駄を履いて、
「楽しくなる体の動かし方」を体験してみませんか?
一本歯下駄を履く、ただそれだけで笑顔になれますよ。