就職活動性向け。
車載機器メーカーに勤めるエンジニアが何を行っているか、概要を書きます。
自分史を書くことの一環として、
自身がなぜエンジニアを目指したのかを振り返るところから。
目次
なぜエンジニア・技術職を目指したのか
車載機器製造メーカに入社して依頼、開発業務を担っている身としては
「技術こそすべて」
であり
「実際に”自分の手”を動かして何かを作り・動かす」
ということに強くモチベーションを感じていた。
なぜこのような思考を得たのかと振り返れば、
幼い頃からレゴやプラモデル、ロボットなどの
「自身の手で、なにかを作り出す」
というおもちゃが好きだったので
今の職に就いたのはレゴ遊びの延長とも思える。
いかに洗練された、機能的なモノを作ることができるか、がテーマだった。
ふと思い出したが、兄の影響で、主にロボットを中心としたアニメや漫画をいくつか見てきたことも影響しているのかもしれない。
- ガンダムシリーズ(1st、Z、ZZ、0080、0083、F91、、、、)
- 宇宙の騎士テッカマン&テッカマンブレード
- トップをねらえ!
- パトレイバー
- カウボーイビバップ
- 無限のリヴァイアス
- エリア88
などなど。
ゲームでも、FRONT MISSIONシリーズには特に熱中した。
ヤンにトンファーを持たせると異常に強いのですよ。
なぜ自動車業界を選んだのか; 車載機器の制約条件について
自動車業界を選んだのは
車載機器が特殊な条件(※)で動作する必要があり、
あえてその条件に挑むことで
技術者としてのスキルが磨かれると思ったことによる。
※条件の一部を下記に述べる
(ちなみに設計の前提条件として自動車はトラブル時に「いかに安全に停止するか」を意識する。
これに対して航空産業の場合は「いかに安全に動き続けるか」を意識してシステムの冗長化を行う。止まることは墜落を意味するからだ。
また、宇宙産業においては下記の様な条件に加え、ガンマ線が精密機器にどのような影響を及ぼすか、なども検討しなければならないため極めて特殊な条件と戦っているのだろう)。
温度条件
自動車は灼熱の砂漠から、極寒の地までどこに行くか分からない。
またエンジン付近に搭載するユニットはエンジンの発熱に耐えて正常に動作しなければならない。
大体、-40℃から120℃の範囲で製品が正常に動作することを保証する。
回路で用いる抵抗器やコンデンサなどの基本部品一つとっても、温度によって特性が変わるためその温度変化も考慮した設計を行う。
振動条件
走行中の振動や、エンジンの振動などに長時間さらされながら動作する。
最悪、基盤にはんだ付けした部品が振動に耐えられず外れることもあるため、
どれだけの面積はんだ付けをするか、や、
基盤・筐体含めた上での共振周波数の確認を行う
(車の振動と、ユニットの振動が共振すると振動エネルギーが倍増するため)。
電源条件
車載機器はバッテリーを電源として動作する。
バッテリーの電圧は通常は12Vだが、弱ってくると10Vまで落ちたりする(ちなみにトラックなどの商用車は24V)。
電源変動や、電源瞬断にも耐える設計でなければならない。
サージ電流(家電で言えば、雷が落ちたときのような、急激に流れる電流)対策も必要である。
また、バッテリーがあがってしまわないように消費電流を極力抑えなければならない。
ノイズ
ユニットがアクチュエータ(モーターやソレノイドバルブ;油圧等を制御する)を駆動する際には
大きな電流が流れ、ラジオノイズを生む。
運転者がラジオを心地よく聞けるためにも、ユニットが放射するノイズのレベルが小さくなるよう試行錯誤する。
逆に、周囲のノイズを受けることでユニットが誤動作しないことも確認する。
CPUの動作周波数や、各種通信の周波数、配線の引き回しを考慮して対応。
機能安全(フェールセーフ)
今まで挙げてきた項目の上位概念になる、設計の前提として考慮すべきもの。
万一ユニットが故障した際にも、ドライバや周囲の歩行者が安全となるよう配慮することで、
例えば
交差点で信号機が壊れた時は、全ての信号を赤表示にする
ということ。故障時に青固定にしてしまうと、交差点に車が猛スピードで突っ込み事故が起こってしまう。
別の例では
ABS(アンチロックブレーキ)ユニットが故障したらノーブレーキ状態になる、なんてのは最悪で、
ユニットが故障しても自動ブレーキ補助が効かなくなるだけで
ドライバがペダルを踏めば当然ブレーキは機能する
というものでなければならない。
ハードウェアリソースの制約
これは車載機器に限らず、ゲーム機や洗濯機、掃除機、洗濯機などのすべての組込み機器に共通する条件である。
組込み機器は
- 消費電流
- 製品の大きさ
- コスト
などの観点からパソコンのように高速・高価なCPUや、大容量のメモリーを積むことができない。
そのため、いかに限られたリソースで効率よく・高速に動作するプログラムを書くか
という工夫が必要になる。
高速に動くがメモリをじゃんじゃん使う、というプログラムは厳しい。
ただし、この点は半導体技術の進歩により大幅に改善されており、
ハードウェアのことをそれほど気にせずプログラミングできるようにはなってきている。
パソコンに近づいている感じ。
まとめ
車載機器で注意しているポイントを、いくつか挙げた。
- バッテリーで動く(100Vコンセントにプラグを指すわけではない)
- 移動する(暑いところから寒いところまで、振動もする)
- 人命にかかわる(故障するときも”安全に壊れなければ”ならない)
などなど、冷蔵庫や掃除機と言った民生家電とは違う視点で設計・検証を行う必要がある。
もちろん、民生品は民生品で注意すべき観点があり、その範囲では車載より厳しい設計を行う必要があるだろうが
車載は車載で独自の基準を持っており
それをいかに満たすかが、エンジニアの腕の見せ所である。
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編集後記
オシロスコープメーカの営業さんと打ち合わせ。
最近のオシロはタッチパネルで操作できるのです。すごく便利です。
風邪ひいてましたがご飯沢山たべたら治りました。
トライアスロンに向けてトレーニングできていないので、そろそろ走りだしたいと思います。
一日一新(一日に最低一つ新しいことをする)
黄金のプリン