この頃、頻繁にトライアスロン関係で投稿をしていますが、
今日もトライアスロンネタ。
ただ、今回取り上げるのは競技自体ではなくユニフォームのデザインについてです。
レース中に感じたデザインの効果
まず、トライアスロンチーム「ポセイ丼」のチームウェアを見て頂きたいのですが
右肩には海を表す青色、
左肩にはチームの主宰を象徴する、情熱の赤
(主宰に逆らったがために流れた幾多の血の色ではないのです)。
前面には”DON”の右側に可愛いどんぶりマーク、
そして背面には丼にのったポセイドンマークが!
これを、いかついトライアスリートの面々が可愛らしく着こなすことによって
アソシエイト感が高まるんです!
ということで、このウェアのお蔭で先日の久米島トライアスロンレース中も
女子高生(推定16歳)から「なにあれ!?カワイイ!」とか
おばあちゃん(推定78歳)から「なんて書いてあるのかね?んぁ、ポセイ・・・?」
と興味を持っていただき、同時にたくさんの声援を頂きました。
ジェルや一本満足バーが身体的な補給食であるのに対し、声援は精神的な補給食です。
また、レース中にメンバとすれ違う際も一目で発見することができます。
数百人が競技に臨むため、特定の人を見つけるのはなかなか苦労するのですが
本当に瞬間的に見つけ出すことができます。
同じウェアを着たチームメンバを見ることで、自分自身を鼓舞することもできました。
もし、今回のレースに普段の練習着で参加したらどうなるのでしょうか。
今回ほどの声援はいただけなかっただろうし、
自身のモチベーションも低くなっていたと思われます。
ということで
「デザインにはこれほどの求心力があったのか!?」
との気付きを得ることになりました。
身体は記憶する?
たまに美術館に行くのですが
絵画、造形などで優れたデザインのものを目にして
「あ、いいなぁ」と思うことがあります。
このとき
「ここの比率が8:5で、あそこのベジエ曲線の曲率が小さいからこれは良いものだ」
などと頭で考えることは決してなく(少なくとも、私の場合は)。
「なんだかよくわからないけど良い」=「直感的に良いと感じる」 という状態になります。
この直感的に良い、と思う感覚はその人がそれまでに経験してきた事象から
構築されたものではないかと考えています(あくまで個人的に。専門家でもなんでもないので)。
例えば、
幼い頃に、とげとげの毛虫に触れて痛い目にあった人が大人になってからも
「とげとげデザインをみると、ゾクゾクする」
ということが起こったり
別の例では
”梅干しを食べたことがある人は「梅干を見るだけで唾液が出てくる」”
ことが起こります(写真や絵など、実物でなくとも)。
ちなみに中学の同級生で、人生で一度も梅干を食べたことが無い友人がいたのですが
彼は「梅干をみても唾液が出ることはない」と言っていました。
つまり、身体が経験を記憶しており、意識とは独立した反応を返しているようです
(「これは梅干だ。酸っぱいから唾液だすぞ。」なんて思いながら涎垂らしている人は
いないですよね)。脊髄反射に近い?
脱線しましたが、デザインは
人がそれまで経験したこと、
複雑に絡み合い積み重なってきたこと
に作用すると考えています。
経験を引き出すと言っても良いのでしょうか。
デザインは身体の記憶にうったえる
デザインの領域で使用される言葉にアフォーダンス(※)というものがあります。
これは”デザイン・形状が、その人に対して特定の行動を誘発する効果”を指しており
例えば下の画像の様なドアをみれば
「ドアレバーをつかんで回せばドアが空くんだな」
と直感的にわかります。
引き戸だと思う人は少ないでしょう。
また、ドアを開けるときに
「あ、ドアがある。レバーがついているからこれをつかんで回せばいいんだな」と
逐一考えながら行動する人がいないように(=無意識にドアを開けているように)
デザインには、その人の経験を呼び起こし、ある一定の行動を誘発する効果があります。
(※)アフォーダンスという言葉は、アメリカの心理学者ギブソンによる造語であり、
”動物と物の間に存在する行為についての関係性そのもの”を意味しており、
ドナルド・ノーマンという人がデザインの認知心理学研究の中で
”人をある行為に誘導するためのヒントを示す事”
という意味で使用しています。ノーマンの用法は誤用ですが
デザインやユーザインタフェースの領域ではこちらの意味でつかわれることが殆どです。
詳しくはWikipediaを参照ください。
ちと脱線 & まとめ
まとめの前に脱線しますが、
先日受けたSIY(Search Inside Yourself)というセミナーでは
瞑想を行うことで、自分自身の感覚に鋭敏になれ
と言っていました。
また、禅の思想を持っていたスティーブ・ジョブズ氏が
デザインに並々ならぬ執着をみせ
iPhoneなどの洗練された製品を大ヒットさせたことも、
今回書いた内容に共通する要素があるように思います。
書籍では、”単純な脳、複雑な「私」”
の中で、コップを取ろうとするとき、
「コップを取ろう」と意識するその少し前に
腕の筋肉が緊張し、指に汗をかき始めるなどの反応が起こっている
という事例が紹介されています。
つまり、
「何か行動を起こそうと頭で考える前に、身体は既に準備を始めている」
=
「脳みそは、体がとった行動に対して意味を後付けしているだけ」
ということです。
今回のポセイ丼ウェアは多くの久米島島民の関心をひき、
他の選手に比べてより多くの声援を引き出す、
という効果を生み出してくれました。
こんな素敵なウェアをデザインしてくれ、気づきを与えてくれた
M姐さんには感謝・感激・雨・嵐です。
そしてデザイナーに限らず
すべての人が”デザイン”を意識する必要がある
(意識すれば恩恵にあずかれる)
のではないかと気付かされました。
大学の授業(情報工学)でもユーザインタフェース、
デザインの重要性は習ったはずなのですが、、、
表面だけをなぞって、理解しようとはしていなかったようです。。 オヨヨ(=ω=;
Apple社など”人々の生活”をデザインする商品を生み出している
企業もあります。
その人の経験、
いわば”その人の歴史”に作用するような
デザイン・仕組みを提供していくことを心がけたいですね。
まずはこのブログのデザインをもうすこしどうにかしなければ。
今日の学び
【デザインは身体に訴える】
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編集後記:
風邪っぴきで微熱っぽいかんじです。
風邪をひいた原因を推測するに
ハラマキを付けていなかったことが挙げられます。
おなかが弱い僕にはハラマキが心のパートナー。
ほぼ日ハラマキが激オススメですよん
一日一新(一日にひとつ新しいことを行う):
・無調整豆乳&プロテイン&クエン酸&アルギニンを
会社に持参。
人目を盗んでこっそりシェイクし、飲んでいます。
不審者です。