【0016】「走○○メロス」を知って

本日は、「作り上げること」という題で
TBSバラエティ制作部担当部長の小谷和彦氏の講演を聞いてきました。

小谷さんは、
「ぴったんこカン・カン」
「中居正広の金曜日のスマたちへ」
「ゴロウ・デラックス」
「さんまのSUPERからくりTV」
など、数番組のプロデューサーを担当されてます。

そして、このセミナーの中で「ぴったんこカン・カン」の
過去の放送の一部が上映されました。
その中で安住紳一郎アナの突出した能力を
知ることができたので紹介いたします。

動画はコチラ(youtube;7分あたりからが見どころ)

簡単に説明しますと、
安住アナは、明治大学の齋藤孝教授の講義を
学生時代に受けたことがありました。

そこから、齋藤教授の講義にお邪魔する、という流れになっています。

この講義のお題は

「走れメロスでなにかやれ」

というもの。

紙芝居を用いる学生がいれば、落語を用いる学生もおり、
各自それぞれの感覚で「走れメロス」に対する解釈を
皆の前で発表します。
学生の皆様も、とても迫力ある発表をしています。

そして、ついに安住アナの出番。

安住アナは 作中の次の暗喩表現に着目し、
ストーリーを展開していきます。

「少しずつ沈んでいく太陽の、十倍も速く走った」

これは、一言でいえば「速く走った」ということなのですが、
太宰治の言葉を拾いながら、
安住アナは次々と小気味良いテンポで話を展開します。
(ネタばれにならぬよう、具体的な内容は書きません。
youtubeが消される前に、ぜひ見ていただきたい!)

さて 私は
「他にも突っ込みやすいところはあるだろうが、
 あえてその一文の、暗喩に着目して、
 面白く話を広げた後にきちんとまとめる、
 そのようなプレゼンをできることがすごい」
と、とにかく感嘆するばかりでした。

たったの一文。されど一文。
本人が興味を持てば、その一文からどんどん横道にそれて
様々な推論を行いうことができるということを教えていただきました。
ありがとう、安住アナ。

さて「伝説の灘高教師が教える 一生役立つ 学ぶ力」という書籍の中では
「国語」こそがまず力を入れるべき教科であると述べています。
数学や理科の問題を解くにしても、まずはその問題文を解釈しなければなりません。
また、自分の考えを相手に的確に伝えるためにも「国語」力が必要ということです。

この理念のもと、伝説の灘高教師である橋本 武氏は、
中 勘助の「銀の匙」を3年間かけて読み込むという
型破りな授業を進め、灘高を有名な進学校へと導きました。

今ではこのスタイルは「スローリーディング」などと呼ばれていますが
本の一文一文を丁寧に読み込み、気になる表現があれば突っ込み、
文中に駄菓子の記載があれば、実際にその駄菓子を食べてみるなど
「横道」にそれまくって、それまくって、楽しみながら学ぶというスタイルです。

先日のblogにて「無用の用」という言葉に触れましたが、
今日改めて、この言葉の意味について考えさせられました。
私自身、ただ近視的に効率を求めて生活しておりましたが、
それだけでは深みが出ない。
人生全般にスローリーディングの要素を取り入れて、
横道にそれて幅をだす、
読書の際には古典の美しい文章に触れ、
そこからさまざまな思いを馳せ、
体験を得ようという決意をしたのでした。

それにしても太宰治の「太陽の沈むより、、、」という表現を
思いつく能力、凄まじい。。。

暗喩で人々に考える余白を与え、自分自身の考えを
抽象化する、そのような能力を、訓練して身に着けたいですね。

=====
今日のまとめ
「比喩を用いて、表現に余韻を持たせることを意識しよう」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存